4EUエンジンdatabase

【随時更新】RZ50 TZR50R TZM50R 4EUエンジン 加工流用OH基本情報(トップ表示)

なんだかんだあってRZ50を車体フルOHしてしまったので、忘備録として作ることにしました。
NSRやCRMに代表されるホンダの水冷2ストロークエンジンは、その多岐にわたるモデルとホンダ特有の微妙な仕様変更のおかげであらゆるエンジンの形式があるにも関わらず、オーナー数や中華パーツのおかげで整備情報に事欠くことはありません。改造情報なども豊富です。
しかしながら、TZRやRZ50、こと4EUエンジンについて、まともな情報を手に入れることは容易ではありません。
そこで、今回OHやエンジンスワップを通して得た情報や、その過程でインターネットで流用・加工情報を見て「ほんまかこれ?」みたいな怪しい情報も含め(私の財布がブローしない程度に&私がRZ50を維持していく限り)検証を進めていくことにしました。

RZ50(5FC型) 流用情報

リアサス強化レシピ

・純正パーツ等流等でリアサスを比較的簡単に強化できしました。ワンオフパーツを作る必要がありますが、この程度であれば旋盤がなくても自作できるはずです。
※このカスタムでは過積載状態でオフロード走行をするとフレームを破損するおそれがあります。キャンツー積載仕様にしたい方はDT50流用の項を御覧ください。



泣く子も黙るフィフティトレール、あの1980年代の2Stバイク全盛の当時、ヤマハの契約ライダーであった石井正美(いしいまさみ)氏が、本栖12時間エンデューロレースにおいて、並み居るフルサイズバイクを抑えて優勝。ノーマルのエンジンに、ラジエターとリアサスのみ強化して参戦し、奇跡のDT50として語り継がれたDT50のリアサスをポン付けする改造です。
リアサス自体はポン付けですが、ハーネスの取り回し変更と、サイドスタンドに下駄を履かせる改造が必要です。




フロントフォーク強化検討

リアサスと合わせてやってみたい改造。車高がぶち上がるのでサイドスタンドの下駄では間に合わず延長が必要かも…
RZ50のフロントフォークは流用元として使われがちですが、それを逆手に取り流用情報を集めてみました





その他流用情報等の検討


検証済み
・ブレーキロータ流用(ハイリスクローリターン) オススメしません
ネット情報等のまとめ
・DT50とRZ50のフレーム比較(画像のみで検証)
・RZ50に420チェーンスワップ等(非推奨)
・中華クラッチプレート販売情報(4枚・3枚)(現在人柱召喚中)
・3TUエンジンとの部品互換性検証(ミッションとクラッチアウター、キック取り付けのための検証)

・フロントホイール19インチ化 スポークなどの計算について
・4EUキックペダル取り付け
・YZ85エンジンとの比較及びシリンダー周り無理付け(凍結中)




4EUエンジン小ネタ集

実物での検証に基づき記載しているもの
・TZR50R、RZ50、TZM50Rのエンジンマウント形状の違い、スワップのための加工情報
・Nスイッチ取り外し時の注意点
・4EUエンジン特有のチェーン切れによる右側クランクケース破壊の修正情報
・腰下のクランクケース固定ネジすべてのネジ寸法記載。クラッチカバーやジェネレーターカバー、クランクケースのなべネジを六角ボルトへ置き換える際に参考になる(はず)
・腰下ベアリングのグリス除去が必要かについて
・腰下オイルシール打ち込み量の画像資料


未検証 小ネタ
・クランクオイルシールを後入れする方法
・YZ用点火系統(インナーローター)移植、つまり4EUインナーローター化の可能性






4EUエンジン 強化オイルポンプへの挑戦


分離のまま安全安心ボアアップへ向けて。4EUの分解可能なオイルポンプを分解してカムを自作、プランジャストロークを変更して4EU用強化オイルポンプを作りたい。
ついでに型番の出ないオイルシールのクランクケースにくっついてる軸のオイルシールの購入ページも置いてます






※上記リンク先の内容やリンク先は予告なく変更・修正する場合があります
※個人の主観・素人の憶測、こうあってほしいという希望的観測等によって構成されています。私が掲載した間違った情報による不利益に関して一切責任を取りかねますのでご了承ください。「間違ってるから内容修正しろワレェ」というご指摘はいつでも募集中ですので、遠慮なくどうぞ

RZ50等 4EUエンジン用デジタルCDIの製作 安定動作へ…

さて、前回の点火時期計測のおかげで、なんとかピックアップ第一波からどの程度待ってから点火すればよいかというデータが取れました。コレさえあればあとは回転数を計算すればなんとでもなります

今回、制御用マイコンはESP32を使用します。内部はArduinoで動かします

実はPICマイコンだとPIC16F161Xファミリとかいう点火位相に関しての専用機能を備えたマイコンがあるんですが、ソレをしちゃうと一般公開で気軽に作ってもらえなくなるので、色々と楽なArduinoベースで進めていきます。これは構想の段階から決定していました。
しかし、Arduinoでは周波数の問題で16Mhzだと性能がギリギリすぎるということで、オーバースペックですがESP32を搭載することになりました。ちょうど手持ちの評価ボードもありましたので、これで試作を進めていきます

で、いきなりですが回路図です


Test


たぶんサイリスタ駆動部とかがの設計がガバい。BUT THIS CIRCUIT IS WORKING!!

とりあえずサイリスタのトリガ電流は定格より流したほうがしっかりスイッチできると言うことを聞きましたので、とりあえず流しまくるようにしました。しかし抵抗の発熱が大きい(計算では0.2W程度しか発熱しないはずで、シブイチ抵抗だとまあギリギリ収まる程度の発熱。安全率取るとちょっとこわい)ので1Wと大きめのの抵抗入れるようにしてます。たぶんここもうちょい高抵抗でもいい気はする(200くらい?)

後日このへんのオシロ波形を記載します

あとフォトカプラの入力に関しては色々やった結果この定数に落ち着きました。入力と並列に入ってる抵抗はかなり重要です。無いと高回転でバグります。あと電流流しすぎオタクになってフォトカプラが劣化してしまうので、こっちにバイパスさせてあげることで過電流をある程度防げます。
あと逆耐圧が低いので直列にSBDを入れてあげましょう。30Vくらいのでいいです。

付け加えて、プラグは必ず抵抗入りプラグを使用すること。抵抗なしだとノイズ多すぎになって死にます。

で、上記の回路ではないのですが、一度試作した1号機がこれ

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調子に乗って色々書いてますが、結局コレはノイズとか無視して部品配置やりまくったせいでアイドリングすらしませんでした。回路修正しようにも結構詰めて作ったので厳しい。

なので、二号機を作りました。面積はかなり広くなりますが色々と回路修正しやすいようにしてあります。実際、サイリスタの駆動回路まわりで誤動作しまくったので助かりました。


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(当時はサイリスタを駆動するにもフォトカプラで絶縁してみたりと工夫していた。試作段階ではGNDは共通なので意味はないのだが絶縁DCDCを使えば後々に完全に絶縁できると目論んでいた。結局必要なかったのだが…)

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で、当然ながらこれでもかとベタ代わりの銅箔テープ

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サイリスタの駆動回路についても、正論理で駆動すると思わぬタイミングでノイズによる点火が入ってしまうようで、うまく駆動できませんでした。で、負論理で駆動させてもしばらく謎の挙動に悩まされまくったんですが…最終的にはピックアップ入力周りの回路を見直して解決。


無事、高回転域に関しても動作を確認しました。



YEC-CDIの実測データ(緑線)を元にした点火MAP(橙線)はこんな感じです。
あくまで電気的に見える部分でのMAPなので、フライホイールにタイミングライトあてて実測するとズレると思います。4EUはカバーを開けて点火時期を確認するってのができないので大変です。のぞき穴から確認するしかありません。見やすいように加工したサイドカバーと騒音を出しても良い環境があればいくらでも測れるんですが…

とりあえず安定稼働したということで、業者に基板を発注します。

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2層基板で片面は全部ベタでビアも打ちまくりです。これなら素子の放熱もノイズ耐性もそれなりに期待できるでしょう。
コンデンサについてもある程度選べるように穴を2,3個に増やしています、実際、安定動作版でもコンデンサは2段重ねになっています

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ケースはこの真中の箱になります。手前のデイトナのアナログCDIよりすこし大きくなりますね。

しかし、基板を見ていただくと分かる通り、ESP32の評価ボードがそのまま刺さる形になります。これがかなり基板面積を圧迫していますので…最終版ではさらに小さくなる予定ではあります

まあ評価ボードは評価ボードなりに、マイコンの下にフォトカプラ突っ込むという立体配置をしているのですが…

基板が届いたら次の記事書きます。

RZ50等 4EUエンジン用デジタルCDIの製作 信号レベル・YEC-CDIの点火時期計測

さて、前回の続きです。

今回作るCDIの仕様を再度おさらいしましょう。

・マイコン制御で点火時期が可変
・とりあえず電源は12V

この2点です。
まず設計をするにあたり、ピックアップの信号強度やエキサイタコイルの発生電圧、コンデンサのチャージ電圧を把握しておく必要があります

どこのご家庭にでもあるオシロスコープでとりあえず波形を測りました。

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これはピックアップ信号

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これはエキサイタコイルの信号
YECのCDIを着けた状態でハーネス分岐による計測を行っているので、どうやらYECのは半波整流回路で点火の電力を受けているらしいことが分かります。妙に電圧が平たくなっているのは制御電源確保のためのシャントレギュレーターとかのせいでしょうか?リバースエンジニアリングしてないのでなんとも言えませんが。

ともかく、信号強度や波形を把握できました。

ここで、エキサイタコイルの発生電圧を確認します。アイドリングでは実効100V程度で、それなりに回してもそこまで電圧の変化が小でした。
レブリミットまで回した場合はわからないので、マージンをとってコイルの発生電圧を概ねMax:200V程度になると仮定し、高圧部品の定格は
チャージコイル耐圧:400V
サイリスタ耐圧:400V
等に決めました。実際、市販車のサイリスタも400V耐圧なので間違っては居ないでしょう。
また、ピックアップ信号の強度からフォトカプラの定格設計を行いました。回路は最後に挙げます。

フォトカプラに関しては、真面目に推奨定格電流しか流さないようにするのはなかなか難しく、というのも信号強度が5~20V程度まで変化します。とりあえず、高圧時にも定格に収まるように設定しましたが、電流が流れすぎるとフォトカプラは劣化してしまうので、長期運用してみないと果たしてこれが適切なのかどうかは確認できません。不動になったらダメだったということです。

ところで、ピックアップ信号が2つ出ていますが、正負で区別してもプローブを入れ替えると変化してしましますから、ここでは順番に第1波、第2波と区別することにします。アナログCDIはこのどちらの信号で点火しているのかを確認します。


ということで測りました。

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黄色の波形がイグニッションケーブルの近くにプローブを設置して計測した点火信号です。同じタイミングでCDIでも点火信号が発火しているはずです(正確にはタイムラグがありますが、マイコンの制御可能時間よりも十分に短いので、ほぼ同時として良いでしょう)
結果としては、第2波の信号を用いて点火していることがわかりました。まあ、機械的な位置関係から予想はしていましたが……
これであれば、デジタルで制御する場合には第1波の信号を用いて、回転数の情報から第1波信号の時点から点火目標角度までフライホイールが回転するのを待って点火させれば良いので、容易にピックアップ新フォウよりも早い時期での点火=アナログCDI以上の進角が可能です。アナログだと、フライホイールを削ったりしない限りはあれより進角させられませんから、アナログCDIの限界を簡単に越えられるのはデジタルのいいところです。


入力信号の要件をまとめると

・エキサイタコイル(チャージコイル)の発生電圧は概ね実効100~150V程度
・ピックアップ信号のピーク電圧は5~25V程度(負荷接続時)
・純正CDIはピックアップの第2波信号で点火する
・第1波信号を用いて制御すれば進角制御可能

ということです。

さて、ピックアップ信号を受けてから回転数に応じて一定時間後にパルスを発する、というプログラムはそこまで難しくないのですが、具体的にどれくらいの点火待ち時間が必要なのかわかりません。そこで、YEC-CDIのピックアップ信号と点火信号のログを取って、map作成の参考にしようと考えました。

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これがサクッと作ったロガーです。

信号受信部が分離可能になってるんですが、これには理由があります。この前にもワンボードで試作してたのですが、そいつがノイズを拾いまくってまともに動かなかったので、回路の改良のために交換可能にしてあります。

それでもノイズで誤動作しまくったので、最終的に

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気合でシールドしまくって解決しました。(ノイズ対策用銅箔テープがまだ届いてない)

ロガーの性能要件として、12000rpmまでは最低でも計測する必要があります。12000rpmということは、周波数は200Hzです。なんだ、大したことないな?と思うでしょうが、点火時期を計測するのでクランク角は360度あることから最低でもその360倍=72kHz、クランクが1deg回転するのに14usec程度の時間しかありません、これが結構(時間的に)シビアな問題で、ピックアップ第1波と第2波の間にはクランク角が約63度回転します。第1波、第2波、点火信号の点火時間の取得が終わってから取得したデータを第2波から次の第1波までの297deg回転するまでの間にデータを処理して送る時間は約4msecしかありません。SDカードロガーではこの速度で書き込みすることはできなかったので、仕方なくPCを載せてUSBシリアルでログを取ることにしました。



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テープではっつけて

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箱に突っ込む。こういうときに5mくらいあるUSBケーブルがあると便利ですね。

見た目の怪しさ満点ですが目的のためには手段を選べません


FullSizeRender

取れたデータをもとにしたのがこれ。横軸が時間経過、縦軸が回転数

高回転域でエラいノイズまみれになってますが、ある程度はフィルタで除去できそうなので除去しました。

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そしてこれが、ノイズを除去したデータから得られたYEC-CDI(社外CDI夏map)での回転数ごとのピックアップ第1波から点火信号までの時間(縦軸usec、横軸rpm)。潰れて見えないけど。
回転周期T(sec)=60/rpmとなり、回転数に反比例するのでこういう形になる。波形進角があるとはいえ、基本的には機械的位置関係に基づいて変化している。

次に、ピックアップ信号第1波から点火までのクランク回転角度を調べた。といっても、上記のグラフのデータから計算するだけだ。


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例によって軸が潰れて見えないが、横軸がrpm、縦軸がdegである。

さて、ここで2ストロークの点火時期に詳しい人は 変だな? と思うだろう。
本来、(4ストロークの)パワーの出るCDIというものは、高回転につれ進角していくものなので、右肩下がり若しくは水平なグラフになるはずだ。しかしながら、このグラフは高回転域に近づくにつれてほぼ一定の割合で遅角している(アナログなんだから当然だが。)
2ストロークは少し特殊であり、パワーバンド手前では進角し、高回転域ではどんどん遅角していくという点火制御を行っている。

この点については、某書籍等でも触れられているように間違いないはずだ。

改めてこのグラフを見てみると、なるほど遅角している。しかしながら低回転進角はどうなんだ?という話だ。実際、YEC-CDIを取り付けた感想としては低速からモリモリパワーの出るCDIという印象を私も持っている。低回転でも遅角しているとすれば事実との整合が取れない。

ここで出てくるのが波形進角だ。詳しい解説はHT-Rocket回路等の作例ページでも触れられているのでそちらを参照していただきたいが、こちらでも念の為解説する。



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上の波形がピックアップコイルの波形、下の矩形波がフォトカプラを経由したデジタルの信号波形とする。

まず、黒字に注目されたい。低速時にはピックアップコイル近傍を通過するフライホイールの鉄片の移動速度が遅い=センサコイル内部の磁束密度変化が緩やかなので、波形の立ち上がり、電圧が共に低くなる。デジタル信号はフォトカプラの入力信号がスレッショルド電圧をこえない限り2次側がターンオンされないので、結果として、デジタルのピックアップ信号の立ち上がりは遅くなる。

次に赤字だ。回転数が早くなると共にセンサコイル内部の磁束密度の変化は大になる。すると波形の立ち上がりと電圧の最大値も大になる。
結果として、スレッショルド電圧を超えるのが低速時よりも早くなるので、低速時と比較して図の時間tのぶんだけ進角する。

これが波形進角とよばれるものだ。

どうやら低速の4000rpmくらいまで(要出典)はこれが効いてくるらしく、私としてもこれは測りたいのだが、家の前でレブ珍するだけに飽き足らず怪しい装置(オシロ)を繋いで何かゴソゴソやるなんてもう通報待ったナシなので、今回この部分の波形進角は考慮しないものとする。そもそも、波形進角は考慮しなくても問題ないのだ。電気的進角mapに対して実際のmapがアナログ的な要素でズレるということを把握しておけばいい話で、そのズレるというのもせいぜい数度あるか無いか程度の話だろうから、後ほど実際の点火時期をタイミングライトで測って補正値を入れたら済む話だ。YECの点火map計測値というのも、結局、ロガーだってはデジタル信号に変換したピックアップ第1波から点火までの時間を見ているわけで、アナログ進角ぶん丸ごとズレるだけ、ということになる。実際に、低回転ではピックアップの第2波よりも点火の方が早いと計測されている。低回転ではスレッショルド電圧を超えるよりもアナログ信号による点火信号の方が早く、回転が上がるにつれてピックアップの方が早く検知されるので、実際に波形進角が進んでいるのだと思われる。(ほんとうなら点火も同じように早くなるはずなのだが、私の理解が足りていないのかもしれない。)
とにかく、機械的(アナログ的)部分を除いた電気的(デジタル的)な部分で見れば、とにかく波形を回転数につれていい感じに遅らせていけば、中低速は勝手に波形進角でいい感じになるはず、という考えで進めていく。

さて、つらつらと駄文をしたためてきたが、ここで上記の内容をまとめておく。



・点火時期/ピックアップ信号ロガーを作り、走行中のログを取った。
・ロガーによって、ピックアップ信号をきちんと取得できることを確認(ピックアップ信号まわりの定格設計の実施)
・ログより、YEC-CDIの"電気的な"点火mapを作製
・波形進角があることは頭の片隅に置いておかなければならないが、今回の作り方ではあまり気にしなくても良いことを確認

以上です。


ちなみにピックアップ信号の取得には以下の回路を用いました

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ピックアップ信号は正負の信号として第1波と第2波が出てきます。どちらの信号もバラバラに取りたいので2回路あります。
フォトカプラは逆耐圧が低いので、30vほどの耐圧のショットキーバリアを入れて逆電圧保護を行います。
また、信号はプルアップ抵抗を突っ込んで負論理にしておけば、ノイズに対してある程度強くできます(ただし、消費電力はその分大になります)。
1番左のピックアップ信号と並列に挿入される330Ωは、これを入れることでスレッショルド電圧を高くする?効果があるようで、これを入れるとノイズに対して強くなるようです。また、フォトカプラに流れすぎる電流をこっちにバイパスすることでなんかいい感じになるらしい。
実際、高回転域で正常点火できなくなった際に原因はここにありました。
とりあえず330入れてますが、発生電力的がどれくらいなのか分からん以上熱的な問題が生まれますので、長時間運用は危ないかもしれません。。たぶん500くらいのものを入れておいた方がいいんじゃないかと思います。

で、波形がこんな感じになります(コイルにラジオペンチをぶつけながらスライドさせて擬似的に点火信号を再現しています)

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いいかんじ



以上で計測編は終了、次回は点火制御と基板起こし、実働編です。
制御の実装はなかなか無茶をしているので、優しく見守ってあげてください

RZ50等 4EUエンジン用デジタルCDIの製作 構想編

世の中にはレース専用部品という血湧き肉躍るアフターパーツが存在する。ゼロハン2stピュアスポーツ(?)であるRZ50他4EUエンジンを搭載するTZR50R,TZM50Rも例に漏れず、YECパーツというありえんパワーをヒリ出せるパーツがあり、チャンバーはもちろん、俗に”YEC-CDI”と呼ばれるありえんパワーの出るCDIがあるらしい。


お高いですが。(1万円以上はするらしい)


たかだが点火装置に1万円も出してられんわ。あほくさ。


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まあ買ったけど。

これがまあ低速域はもちろんのこと高回転でもありえん回っていくという結構いい感じのCDIなんですが、まあそんな月並みな感想をここで書いても仕方がないので省略する。

話変わってCDIの動作原理について、だ。

CDIは、エキサイタコイルで発電した高電圧をコンデンサへチャージしておき、フライホイールに取り付けられた鉄片が、コイル状のピックアップセンサーの近傍を通り過ぎる時のコイル内の磁束密度変化に伴って発せられる起電力(点火信号)を用いてサイリスタをターンオン(ポイント点火の場合は物理的に接点をオンに)し、イグニッションコイルの一次側へチャージした電力を突っ込むと言ったもので、ウン十年前から存在するあたり特段難しいことをしているわけではない。実際に、アナログCDIの製作例はインターネット黎明期の時点では既に存在し、HT-Rocket回路などであまりにも有名である。
一方、デジタルCDIの制御についてはアナログと比較すると例が少なく、TZRやキャビーナのCDIを自作している例(使用マイコンはそれぞれArduino(ESP32)、PIC)がある。
有名どころでは「オープンソース」を謳っておきながらフェイスブックで登録しないと回路すら見せてくれな”クローズド”なものとしてOSR-CDI等がある。こちらは様々な車種でのノウハウが共有されている上にYPVSについての制御も可能で、Win上で動くソフトを使って点火時期やYPSV開度の設定もできるらしい。ガーバーデータやパーツリストまで”クローズド”な領域に踏み込んでいけば閲覧可能なので、誰にでも簡単に作れる上にかなり完成度の高い代物だ。なにかの間違いでこのページに流れ着いたYPVS付き車両に乗っている人は、とりあえず確実に動作するんだからこちらを製作することをお勧めする。


さて、それでもこの記事を読みたい奇特な人間が居るようなので、以下にCDI製作の動機としての要点を述べる。

・YEC-CDIが不当に高いので、同性能、或いはそれ以上に点火時期を詰められるCDIを作ってみたかった
・自分の技術の腕試し
・OSR-CDIがオープンソースを謳うのが気に入らない(オープンを謳うならGitにでも出せ)コノヤロウ
・来年は社会人なので学生生活の集大成として
・話のネタ
・動いたらおもしろそう(興味本位)
・完全オリジナルでDC-CDIではなくAC-CDIのデジタルCDIを作ってる人は居ない(新規性)

※AC-CDI:ジェネレーターの電力のみでCDIを稼働させる(そもそもアナログ回路なので制御は行っていない)。DC-CDIはバッテリーから電力をとり点火を行う。高圧生成に関しては内蔵インバータで12Vから昇圧している場合と、高圧のみエキサイタコイルから得ている場合がある。前者はDC-DCI(CDI特別してイグナイタと呼ばれている?)の純正パーツ等、後者はOSR-CDI等が挙げられる。

特に最後のAC-CDIは重要で、私のRZ50は全波整流改造済みなのですが、DC-DCIだとバッテリーが上がった際やレギュレーターがパンクした際にDC-CDIだと詰んでしまいます(私の場合は予備の部品が積んであるので、出先でも交換すれば済む話ですが)。
実際に浜松でヘッドライトとかの電装がどこかで短絡して死亡した際、(車両火災防止の為)ジェネレーターの充電系統をひっこぬいてバッテリー電源だけで大阪まで帰宅したことがあり、その際もAC-CDIだからこそ帰宅できたという事例があります。DC-CDIの場合はバッテリーあがり対策として緊急時にUSB電源で動作させることなどを考える必要があります。

デジタルDCIの利点としては、アナログと違っていくらでも点火時期を変更させることができるので、理論上はYEC-CDIの安全マージンを超える点火時期に設定することができるので、さらに多くのパワーを出せることや、キャブセッティングのガバを点火時期で吸収することができる 等が挙げられます。面研などで圧縮比を変えてパワーを出さずとも、点火時期を変えれば圧縮比は低いまま同じパワーを出せる。気がする。
いずれにせよ、点火時期を自由にいじれるCDIというものは、異常な点火時期に設定した場合にピストンに穴が開く以外は悪いことはありません。

以上のことを踏まえて、今回作るCDIについて目標設定を行います。

・YEC-CDIと同等以上の可変点火MAPなデジタルCDIの作成
・可能であればAC-CDI、ハーネスポン付け

実現可能性については、4EU向けのデジタルCDIとしてはPOSHからYECコピー品と言われるデジタルCDIが既に発売されており、DIPで切り替えることで点火時期をある程度変更できます。既に発売されているなら作れないことはないでしょう。

AC-CDI(デジタルCDI)において最も重要なことは安定した電源の確保です。それも、セルを回しただけの弱々しい電力かつ短い時間にマイコンを起動しなければ点火させることはできません。
この点に関しても、POSHのデジタルCDIが発売されているなら問題はありません。作れるはずです。また、ハード側でマイコン起動までの時間はアナログ点火CDIとして動作させる、等をすれば初爆の制御を行えるのかという問題は解決できそうです。
とはいえ、いきなりAC-CDIを作るのはたいへんそうなので、まずはDC-CDIを作ってから電源部を作り、その後電源部を実装という形を取りたいと思います。


ということで、次回はCDIを作るために必要なデータ集めです。エキサイタコイルの発生電圧、ピックアップコイルの出力波形、YEC-CDIの点火時期を走行ログで計測、等です。

ではでは

RZ50 ボアアップ向け 強化オイルポンプへの挑戦

内容が増えたので移植、加筆修正等を行い別記事化しました。
以下本文


TZR/TZM50RやRZ50の所謂「4EU系」エンジン向けのボアアップキットとして、デイトナをはじめとしてオートボーイやキタコ、リップス等のボアアップシリンダーが市場に流通している。これらは一般的に最高速のアップやよりパワーを捻り出すことを目的とするため、混合給油、もしくは分離混合併用での使用が推奨されているなどしている。しかしながら、混合給油のためには常にオイル缶を持たねばならず、これは長距離ツーリングでは厄介な存在になる。
大阪から伊豆まで普通に移動する私にとって、50ccのパワーで足りないわけではないが、常に高回転で回さなければ流れに乗れないのはいささか寿命に悪い。回しすぎず快適に街乗りや長距離移動を行い、名四国道などでホワワkm/h以上の流れに難なく乗るためには、やはりボアアップは必要だ。現状だと常にレブ当てしないといけない。しかし分離給油はしたくない。このような悩みを抱えている人は、案外多いのではないだろうか。

一応、デイトナのボアアップキットでは、給排気系が純正の場合はそのままのオイルポンプで良いとされている。昔の2stのボアアップキットでも、そのようなことが多いだろう。実際、純正の分離給油というものは安全マージンがあるので、その範囲内に収まるレベルであれば、混合を使わなくても良いという考えだ


いいわけ無いだろうが


数百キロの距離を移動する私にとって、出先でぶっ壊れるのは死活問題。常に全開で回し続けても焼き付かない程度にきちんとした適正量の油膜をマージン込みで維持したい。

4ストロークエンジン、特にモンキーやエイプなどのエンジンであれば、強化オイルポンプというものが販売されている場合が多い。しかし今は令和の時代。2stの強化オイルポンプなんてものは販売されているはずがない。ジャイロキャノピーなどは、分解可能なオイルポンプのため改造によって吐出量を増大させるなどが可能なようだ。おそらく、3TU系のエンジンについても分解可能なのでできるだろう。しかし、4EUエンジンのオイルポンプは分解不可能な形状をしている物がほとんどだ。唯一、TZR50Rのある世代のエンジンにのみ、DT230やTZR125Rなどと同一構造のオイルポンプが搭載されており、それは分解改造が可能ということらしい。じゃあやってみようじゃないか……というのが、今回の記事の前日譚(前置きが長い)


最初から改造可能なオイルポンプの存在を知っていたわけではなく、最初は輸出モデルの同一クランクケースを使用しているTZR80RRの4BAエンジンのオイルポンプを使えばいいんじゃなかろうか、という試みを思いつきました。
しかし、eBayで当該のブツを買うにしてもちょっと種類も多くて想定しているブツがきちんと届くかわからん!ということで半ばあきらめていたところに、Twitterでそのポンプの情報が飛び込んできました。


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分解状態で失礼

この樹脂プーリーのタイプのオイルポンプは、プランジャ径と取り付け穴形状がTZR125やDT230ランツァと同じなんですね(寸法を実際に私が計測したわけではないですが、多分プランジャまで一緒なんだから間違いないと思われる)
分かる人にはわかりますが、カム山でオイルポンプのプランジャストロークを制限する?調整する?ことで圧送量を変化させているということは、そのカム山を削ればストロークが増えます。
ジャイロキャノピーの改造とかではオイルポンプの加工記事が検索すればヒットします。



上記ツイが消えたときのために転記
TZR50R(後期型) 最小ポンプストローク 0.09mm         最大ポンプストローク 1.13mm TZR125R(4FL) 最小ポンプストローク 0.20mm         最大ポンプストローク 2.78mm

つまり、プランジャの上下を最も制限しているTZR50Rのカム山が一番高いので、TZR50Rのオイルポンプを買ってばらしてカム山のプロファイルをいい感じにしてやれば80ccとかの排気量に合ったオイル混合量になるはずなので、分離のまま乗ることができるはず。純正のカムを削らなくても、3Dプリントでカムを作ることもできると思うので、自由なカムプロファイルに設定することができるでしょう。


ということで、オイルポンプ買ってきたので検証開始

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まぁこんな感じにドレンのインサートナットが抜けるという小さなトラブルは有りましたが、簡単に分解できました。

このオイルポンプの分解時にゴムのメクラ栓を外す必要がありますが、どうやっても無傷で摘出することは不可能です。そのくせ部品設定がASSYなので発注も不可能(たぶん裏型番は存在していますが特定が不可能です)。しかし、こちらは汎用のオイルシールが市販されていますので、それで代用可能です。DT230,TZR125等の同型オイルポンプも同様に使えるはずですので、ぜひ試してみて下さい。

 

純正が厚み4.5(だったと思う)、これは厚み5ミリですが、問題なく使用できます。

話を本筋に戻しますが


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で、このカム山の黒いところを


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削りました。ちなみにプロファイルは適当です。多めに削ってあるのでたぶんオイル多すぎるくらいだと思います。少なくとも純正よりかは削ってある以上、吐出量は増えるはずなので、このまま50ccに取り付けて乗るとオイルが濃すぎてパワーダウンする程度で壊れやしないと思います。


しかし!今や貴重な2stMT者のカムを削って無駄に消費するのもダメだろうということで、3Dプリントでカムを発注してやろうということになりました。

DMM.makeのナイロン印刷であれば、おそらくナイロン12のため耐油性、耐摩耗性、剛性などに問題はなさそうです。問題は寸法誤差の吸収ですが…

とはいえ、先にカムを削ってしまったので、純正のカムの状態があまりわからないまま作ることに。どうせ楕円で作れるやろと思いましたが、色々と甘かった。

スクリーンショット 2021-01-13 020315


これが現在最新版の寸法誤差込みのボアアップオイルポンプカムのデータです。次の図は、それを純正カム(後日ヤフオクで落とした)に落とし込んだ図になります。

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全閉時はカムが最も高くなる付近でプランジャの動きが最も制限されるのですが、もう少しヤマが低いようです。
私は単なる円と楕円で形成されていると思いこんでいましたが、どうやら違うようで、実際はこう

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二重円と楕円が正しいようです。今後はこの情報も用いてボアアップオイルポンプカムの設計を進めていきたいと思います。(とはいえ、試作段階では高すぎる山をヤスリで削るだけになりそうです)


スクリーンショット 2021-01-13 023641


こんなかんじで、DT230等のデータを頂きながらいい感じになる吐出量を推定し、マージン込みでカムプロファイルを決定しています。

まあ少なくとも、純正より吐出量が増えていれば焼き付くことはないと信じて作っていこうと思います。

試作が完了すれば次は各種強度試験を行い、ボアアップして性能試験を実施したいと思います。

長距離試験も当然ながら実施し、高回転域での焼付きの心配もなさそうだと確信できた場合、カスタムパーツとしてキット販売を行おうと考えています。
オイルポンプの形状が大きく変わってしまうので、それと並行して専用のカバーもRZ50向けに制作します
ご期待ください。


おまけ

オイルポンプの回転軸、それもクランクケースにくっつく側のオイルシール あれ部品でないんですよね。




ここから買えます(情報提供:
@hositaro543
)。情報提供ありがとうございます。
どうやら若干厚いらしいですが問題ないみたいです。国内で買えるシールに関しては、形状と用途から汎用品を探しましたがダメだったようです
こんなところからオイルシール買う人は自分で寸法測ると思うので書きません。めんどうなので。次にオイルポンプ出してくることがあればその時に測りますね

2021/11/25追記
これ当該サイズのシールポチっても一生届かないので注文してはキャンセルされて低評価、注文してはキャンセルされ低評価ってのを繰り返してたらついにページ消えてましたね 在庫無いなら出品するなド阿呆め……

ということでこれに適合するシールは気が向いたらまた捜します

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